こんにちは、湖舟です。
「ギター1本で始める音楽理論」第6回は、ディミニッシュコードとシックスコードについて解説します。第2回からコードの種類と構成音について解説してきましたが、コード単体の話は今回が最後です。
ここまで覚えたら、「コード名の意味がわからない」ということはほぼなくなるはずです。
第6回で学べること
- ディミニッシュコードの構成音と押さえ方
- ディミニッシュコードの特徴
- シックスコードの構成音と押さえ方
- シックスコードと13thコードの使い分け
ディミニッシュコード(dim)
ディミニッシュコードは、1度・短3度・減5度・減7度(ルート・m3・♭5・dim7)からなるコードです。ルートのアルファベットに「dim」をくっつけて、「Cdim(Cディミニッシュ)」のように表記します。「Cdim7」と表記されていても意味は同じになります。
減7度(dim7)の意味
今まで紹介したコードの中で登場した7度の音は、長7度(M7)と短7度(m7)でした。ここで、短7度(m7)をさらに半音下げると減7度(dim7)になります。1度がドなら、ラの音が減7度にあたります。ドから見たラは長6度(M6)でもあるので、減7度は長6度と同じ音ということになります。
第3回で紹介したm7(♭5)の構成音は1度・短3度・減5度・短7度だったので、ディミニッシュコードはm7(♭5)の短7度を半音下げたコードになります。
構成音と押さえ方
Cdimなら、ルートはドです。1度・短3度・減5度・減7度がディミニッシュコードの構成音なので、Cdimの構成音はド・ミ♭・ソ♭・ラになります。
Cdim押さえ方は以下の通り。
6弦のルートを1弦に移動して、次のように押さえることもあります。
ディミニッシュコードの秘密
ディミニッシュコードにはある変わった性質があります。それはあるディミニッシュコードに対して、全く同じ構成音のディミニッシュコードが3種類ずつ存在するということです。
言葉だけだとちょっとわかりづらいので、具体的な例を挙げましょう。
Cdimの構成音はド・ミ♭・ソ♭・ラでした。
では、短3度にあたるミ♭の音をルートに変えて、ディミニッシュコードを作ってみるとどうなるでしょう。コードネームはE♭dimになります。
ミ♭から見て、短3度の音はソ♭、減5度の音はラ、減7度はドですから、E♭dimの構成音はミ♭・ソ♭・ラ・ドということになります。実はこれ、Cdimの構成音と全く同じなんです。
同じように、ソ♭をルートにしたディミニッシュコード(G♭dim)を作ってみましょう。
ソ♭から見て、短3度の音はラ、減5度の音はド、減7度はミ♭ですから、G♭dimの構成音はソ♭・ラ・ド・ミ♭です。これもCdimの構成音と全く同じです。
ラをルートにしても同じです。Adimの構成音はラ・ド・ミ♭・ソ♭なので、Cdimの構成音と全く同じです。
まとめると、
Cdim = E♭dim = G♭dim = Adim
という関係になります。1セットの構成音に対して、4種類のディミニッシュコードが作れるということになります。
1オクターブの間に12個の音があり、4種類ずつディミニッシュコードが作れるので、ディミニッシュコードの構成音は3種類しかないのです。
Cdim =E♭dim= G♭dim= Adim(ラ・ド・ミ♭・ソ♭)
Ddim = Fdim = A♭dim = Bdim (構成音ははすべてレ・ファ・ラ♭・シ)
Edim = Gdim = B♭dim = D♭dim(構成音はすべてミ・ソ・シ♭・レ♭)
わかりにくい!という場合は「ディミニッシュコードの構成音は3種類しかない」ということだけ頭に入れておけばOKです。
シックスコード
続いてシックスコードについて解説します。
シックスコードはメジャーコードorマイナーコードに長6度(M6)の音を付け加えたコードです。短6度(♭6)を加えることは無いので、基本的には2種類しかありません。その2種類を紹介します。
6(シックス)
ルートのアルファベットに6がくっついている「C6」のような表記の場合は、構成音は1度・長3度・完全5度・長6になります。C6の場合は、Cメジャーに長6度を付与したコードなので、ド・ミ・ソ・ラが構成音です。
C6の押さえ方は以下の通り。
m6(マイナーシックス)
ルートのアルファベットにm6がくっついている「Cm6」のような表記の場合は、構成音は1度・短3度・完全5度・長6になります。Cm6の場合は、Cマイナーに長6度を付与したコードなので、ド・ミ♭・ソ・ラが構成音です。
Cm6の押さえ方は以下の通り。
6thと13thの使い分け
前回、13度の音を付与したテンションコードを紹介しました。6度の1オクターブ上は13度なので、6thコードと13thコードは本質的に大差無いように見えるかもしれません。実際のところ、大差無いといえば無いのですが、使い分けはあります。
短6度(♭6)を加えるすることは無い、と最初に言ったのですが、13(♭13)を付与することはある、というのが大きな違いになります。言い換えると、C7(♭13)というコードはあるけれど、それをC7(♭6)とは書かないですよ、ということになります。
C7(♭13) はC7に♭13を足したコードなので、「セブンスコードにテンションノートを加えた」コードです。一方で、C6はCメジャーに6度を加えているので、「メジャーコードに6度を加えた」コードです。
四和音に付け加えるのが13度で、その場合は♭13を使うこともある。
三和音に付け加えるのが6度で、その場合は♭6は使わない。
と認識しておいてください。
おわりに
これでコードの構成音と押さえ方についての話は終わりです。ここまでの内容が分かれば、「コード譜を見たときにわからないコードがある」という状況は脱却できるはずです。
次回からは「コード進行」の話に入っていきます。第7回はダイアトニック・コードについてお話します。
それではまた。