こんにちは、こしゅーです。
今回から音楽理論を0から学べる連載を始めていこうと思います。この連載の目的や、音楽理論を学ぶ意義については前回の記事や前々回の記事をご覧ください。
【ギター1本で始める音楽理論】第0回 音楽理論のシリーズ連載始めます。
ではいきましょう!
音楽の3要素とギター
まず大前提として、音楽は3つの要素からなります。メロディ(旋律)、ハーモニー(和声)、リズム(律動)の3つです。
「ギター1本で始める音楽理論」がこの連載のテーマですから、この連載ではギターで鳴らすハーモニー(=コード)、次にギターで鳴らすメロディ(=スケール)、最後にリズムについて、という順番で学べるように進めていきます。
というわけでまずは「コード」についての話を始めていこうと思うのですが、その前にコードやスケールがギター演奏にどう関わってくるのかについてざっくりお話ししておきます。必要のない方は次のチャプター(「度数とは?」)まで飛ばしてもらって構いません。
ギターの演奏は「バッキング(伴奏)」と「リード(主旋律)」に分かれます。バッキングが曲の雰囲気を決め、リードが曲の顔になります。ギター以外の楽器が重なっていっても、この基本的な構造は変わりません。ビートルズで言うと、ジョン・レノンが弾いているのがバッキング、ジョージ・ハリスンが弾いているのがリードです。
バッキングギターにおいて重要なのが「コード(和音)」や「アルペジオ(分散和音)」です。
和音(わおん、英語: chord(コード)、独: Akkord)は、高さが異なる複数のピッチクラスの楽音が同時にひびく音のことである。
Wikipedia – 和音 より
コードの構成音をバラバラに弾くのがアルペジオです。コードはギターをジャーンと弾くイメージで、アルペジオはポロンポロンと弾くイメージですね。
バッキングパートは多くの場合、コードやアルペジオによって構成されます。和音の移り変わりによって曲の持つ雰囲気や、展開が決定されるのです。
一方、リードパートにおいて重要となるのが、「スケール(音階)」という概念です。
音階(おんかい、英語: scale:スケール)は、音を音高により昇順あるいは降順にならべたものである。
Wikipedia – 音階 より
リードパートのメロディは、基本的に特定のスケールに沿って進行していきます。リードパートで和音が使われることも多いのですが、リードの方がバッキングパートよりもせわしなくメロディが変化していくことが多いので、「コード進行に沿ったメロディ」にできるようなルールが必要になるのです。リードギターにしろ歌メロにしろ、コード進行に合っていないメロディをつけてしまうと曲が崩壊してしまいますからね。
逆に言うと、メロディに対してどんなコード進行を割り当てるのかも大切です。リスナーが曲を聞いた時に、真っ先に頭に残るのはリードのメロディラインですが、同じメロディラインでも後ろで鳴っているコード進行の違いで印象がガラリと変わります。ですから、ギターが上手くなりたい・アドリブで演奏できるようになりたい・作曲したい、と思うのなら、コードとスケールについて理解する必要ががあるのです。
前置きが少々長くなりましたが、コードの具体的な話に移っていきましょう。
度数とは?
音楽の世界の「あいうえお」といえば、「ドレミファソラシド(CDEFGABC)」であることはみなさんご存知かと思いますが、「あいうえお」をアルファベット表記で”aiueo”と書けるのと同じように、「ドレミファソラシド」にも別の表し方があります(例えわかりにくいかな)。ここで出てくるのが「度数」という概念です。
度数を考える時はまず基準となる音を決めます。基準になる音はなんでも良いのですが、例として一番わかりやすいのでドの音(C)を基準としましょう。この時、Cを「ルート」と言います。
ルートがCのとき、Cから順番に、1度、2度、3度・・・というふうに呼ぶことができます。つまり、Cが1度、Dが2度、Eが3度、Fが4度・・・と言い換えられるのです。
ここまで聞いた方は「だからなんだよ」と思うかもしれませんが、ここからが重要です。隣り合う度数の音の間隔は一定ではありません。ピアノだとわかりやすいのですが、ギターで理論を学ぼうとするとここが少しわかりにくくなります。
ギターでドレミファソラシドを弾いてみましょう。5弦でドレミファソラシド(CDEFGABC)を弾くと次のようになります。
ギターは抑える場所が1フレット下がるごとに半音上がりますから、ドレミファソラシドの音の間隔が均一なら、上の図の青い丸は均一に並ぶはずです。しかしそうはなっていませんね。ミ(E)とファ(F)、シ(B)とド(C)の間は半音違い、その他の音の間は全音違いになっているんです。
度数についてもう少し詳しく見ていきましょう。
5弦3フレットのCから1オクターブ上のCまでには、フレット(音)が13個あります。Cを1度の音としたとき、13個の音にはそれぞれ名前がつけられます。
C 1度(ルート)
D♭ 短2度(マイナー2nd)
D 長2度(メジャー2nd)
E♭ 短3度(マイナー3rd)
E 長3度(メジャー3rd)
F 完全4度(パーフェクト4th)
F# 増4度(オーギュメント4th)
G 完全5度(パーフェクト5th)
A♭ 短6度(マイナー6)
A 長6度(メジャー6)
B♭ 短7度(マイナー7th)
B 長7度(メジャー7th)
C 完全8度(パーフェクト8)
超メンドクサイかもしれませんが、この一覧は覚えてしまってください。同じ数字が入っているコードはアルファベットも同じでなければいけないことに注意しましょう。
ギターのコードだけかじったことがある人なら、()の中の方には見たことのある言葉があるかもしれません。オーギュメントとか、メジャー7thとか。これらを覚えておくと、そういった「見たことのあるコード」がどういう仕組みで名前がついているのかも分かるし、コードの役割も分かるようになるので、頑張りましょう。音名の中に出てくる「長(メジャー)」「短(マイナー)」「増(オーギュメント)」の意味がわからない方もいらっしゃるかもしれませんが、最初から全部解説すると重たい(し別にいらない)ので、詳細の解説は別記事に回してここでは割愛します。丸暗記でOKです。
ルートがCの時の1~8度の名前を覚えることが出来たら、ルートがDになったらどうなるかも考えてみましょう。ルートがCの時から、右側の度数名は変わらずに左側の音名が変わるだけです。
D 1度(ルート)
E♭ 短2度(マイナー2nd)
E 長2度(メジャー2nd)
F 短3度(マイナー3rd)
F# 長3度(メジャー3rd)
G 完全4度(パーフェクト4th)
G# 増4度(オーギュメント4th)
A 完全5度(パーフェクト5th)
B♭ 短6度(マイナー6)
B 長6度(メジャー6)
C 短7度(マイナー7th)
C# 長7度(メジャー7th)
D 完全8度(パーフェクト8)
このように、最初に出したルートCの時の音名を覚えておけば、ルートが何になろうと対応出来ます。ちょっと難しいところなんですが、ルートをいろいろ変えても、例えば「Eがルートの時のメジャー3rdは?」みたいな質問に「G#!」と即答できるようになると、だいぶコード理論のいろいろな部分が分かるようになります。すぐに全部を暗記するのは大変ですし、今は完璧でなくても大丈夫です。ゆっくり覚えていきましょう。
おわりに
今回はここまでです。
今回は、ギターの音楽理論の中でまず大切な「コード(和音)」を知る上で、重要な役割を持つ「度数」の概念についてお話しました。
次回からは、実際にコードがどのように出来ているのか、メジャーコードやマイナーコードとは何か?といった話に入っていきます。それではまた。